LABORATORIO OLFATTIVO マスターズコレクション 大解剖

今年の8月にNOSE SHOP 2周年の鼻祭でのお披露目を経て、10月16日ついに日本発売となったLABORATORIO OLFATTIVO(ラボラトリオ・オルファティーボ)のマスターズコレクション。

今日はその全容をまるっとご紹介していきます。

LABORATORIO OLFATTIVO(ラボラトリオ・オルファティーボ) マスターズコレクション

真に創造性溢れる名香でフレグランスの歴史に傑出した功績を刻み、なおかつ類まれなる優れた人格を有する偉大な調香師にのみに贈られる称号、それが「マスターパフューマー」。
いま、伝説的な二人のマスターパフューマーと、「LABORATORIO OLFATTIVO(ラボラトリオ・オルファティーボ)」(日本語訳:嗅覚の実験室)」とが出会い、全く新しい実験的なコレクションがスタートした。

LABORATORIO OLFATTIVOとは、伝統的な香水業界に風穴をあけるかのように、突如彗星の如く出現した実験的なプロジェクトチーム。
若手の一流調香師たちが主体となって結成され、香りの芸術作品を生み出すためにマーケティングを捨てた香水界の異端児として、世界中のニッチフレグランスブランドの中でもひときわ強い注目を集めるている。
誰かからの注文や指示から完全に解放され、調香師本人の感性と創造性のみを頼りとし、予算に制約を設けず、芸術的な至高の香りを産み出すことのみを、ただひとつのルールとしている。

この理念に強く感銘を受け、触発された二人のマスターパフューマーが、満を持してLABORATORIO OLFATTIVOから新たなコレクションを発表した。
これは正統と異端の融合でもなければ、レジェンドと若手との共闘でもない。ひとりの調香師としての、そして表現者・アーティストとしての全キャリアをかけた、静かだが燃えるような魂の叫びである。

Jean Claude Ellena(ジャン・クロード・エレナ)

エルメス史上初の専属調香師としても世界的に有名なジャン・クロード・エレナはフランス・グラース生まれ。ブルガリ、ヴァン・クリーフ・アーペル、イヴ・サンローラン、カルティエなど数々のビッグブランドの調香を手掛けてきた。厳選に厳選を重ねた少数精鋭の原料を可能な限りミニマムな処方によって芸術性の高い革新的なフレグランスを生み出すという比類なき孤高のスタイルを持つ。
2016年にエルメス専属調香師を退任すると同時に調香師を引退。3年間の沈黙を破り2019年、当プロジェクトを機に現役復帰した。

ジャン・クロード・エレナ氏コメント
「人生の喜びのひとつは、偶然の出会いです。私たちは皆出会う相手の中に自分を見出し、そして相手も私の中に新しい自分を見つけ出すのです。良い出会いとは、自分自身の交換と共有です。ある香水の会議の中で、私はLABORATORIO OLFATTIVOのチームに出会いました。彼らは少し緊張した面持ちで微笑んでいて、しかしその目は真剣で誠実そのものでした。彼らは私の知識と経験を渇望していて、その会議の間に彼らからの質問が止むことはありませんでした。私は彼らの中に共通の情熱を見出しました。香水への情熱です。私はその情熱とビジョンに強く胸を打たれました。彼らのブランドの一員として、新しい香水を生み出せることを光栄に思う。そう思えるほどに。この日の出会いから生まれたのが私たちの新しいコレクションです。」
TUBEROSIS(チュベローシス)
秋の夕暮れ、寒気が襲う。夜が明けると冬がそこに見えるだろう。
庭にチュベローズが咲いていた。それは生き残った夏からの贈り物。死を忘れた彼の残香はそれから幾日も私を虜にし、ついにそれは香水になった。

NOTE:
カーネーション(インド産)、チュベローズアブソリュート、コリアンダー、スパイス、ムスク
BALIFLORA(バリフローラ)

風景よりもその香りが記憶に残っている場所がある。バリ島の花の中で風景は次々に極彩色の香りへとかわる。フランジパニを取り巻く花々を神に捧げると、島の美しさが溢れ出す。島の神秘を饒舌に語るかのように。

NOTE:タンジェリン、オレンジブロッサムアブソリュート、フランジパニ、リリー、ゼラニウム、ロータス、ジャスミン、ムスク

Lucien Ferrero(ルシアン・フェレーロ)

世界最古の香水ブランドとも呼ばれ、かのゲランやウビガンと並ぶ偉大な歴史を持つ香水ブランド LUBIN PARIS(ルバン・パリ)の調香を手掛けて、ブランド再興の立役者となったことで一躍業界内外に名を馳せたルシアン・フェレーロは、天然原料をふんだんに活用した独自のフレグランス創造ノウハウを有するグラースの香料会社エクスプレシオン・パフュメ社(現ジボダン社)出身の調香師。
これまで数々の名香を手掛けてきた彼の名が香水業界内でさえそれほど広く認知されていないのは、「主役は香水であり調香師の自分は黒子であるべき」という彼独自の哲学から、調香師名を明かさないブランドとの仕事を好んで手掛けてきたため。

ルシアン・フェレーロ氏コメント
「45年にわたる調香師のキャリアの集大成として取り組む、私にとって全く新しいこのプロジェクトは、伝統的な香水業界への私なりの恩返しであり、新しい未来への招待状です。」
VETYVERSO(ベティベルソ) ここはアンティル諸島。荒々しい火山の裾野に生い茂るベチバーの根。朝は柑橘類の新鮮さが煌めきながら空気を支配する。森の中にスパイシーな香りがゆらめき、陽の光が抱くように優しく地面をあたためる。

NOTE:
トップ|カーネーション(EO)、ナツメグ(EO)、ビターオレンジ
ボディ|ベチバー(EO)、ブラックペッパー(EO)、ピンクペッパー(EO)、グレープフルーツ
ベース|シダー(EO)、クラリセージアブソリュート、サンダルウッド、ホワイトムスク
TANTRICO(タントリコ)

サンダルウッド、それは香水の歴史において、最も高貴なエッセンシャルオイル。洗練されたエレガンス、比類なき官能性。思慮深さとの完璧なバランスが、即座に皮膚と結びあい、親密でいて柔和なオーラを描き出す。

NOTE:
トップ|ジュニパーベリー(EO)、ライム(EO)、クラリセージ(EO/プロヴァンス産)、グレープフルーツ
ボディ|サイプレス(EO)、ティムールペッパー(EO)、サンダルウッド(EO)
ベース|ホワイトムスク、バルサムファーアブソリュート、アトラスシダー(EO)
最後に豆知識ですが、偉大なマスターパフューマーとして、時代をつくりあげたレジェンドのお二方は、若かりし日にフランスのグラースの調香会社「Expressions Parfumees」にて、一緒に働いていた過去があるそう。

長い時を経て、2人のレジェンドとなった今、それぞれの45年以上にわたる調香師のキャリアの集大成として、このLABORATORIO OLFATTIVO(ラボラトリオ・オルファティーボ)の新コレクションを発表することとなりました。互いのこれまでの功績を称え合うかのように時を同じくしたこの運命にとてもロマンを感じます。

全4種、いずれも唸るような名香ばかり。ぜひ、二人のレジェンドの、静かだが燃えるような魂の叫びを感じてください。