香りを読むということ。香水をテーマにした書籍

お家にこもって香りを嗅ぐに嗅げない状況が進んでいると思います。
そんな日には文字の力で香りを感じてみてはどうでしょうか。

ということで今回は香りを読むということで、香水や香りを題材にした入門書をご紹介します。

春休みが長引いて暇してる僕みたいな学生さんにもオススメです!

一番最初に読むなら

ジャン クロード エレナ (著), 芳野 まい (翻訳)|香水─香りの秘密と調香師の技 (文庫クセジュ) 「香水について興味があるんですけど、どうしたらいいですか?」
そんな質問を時々店頭でいただくことがあります。そんな時にお答えしているのがこの本。

僕が、NOSE SHOPでアルバイトを始める時になんとなく一番最初に手に取ったもので、調香師の伝説的存在、ジャン・クロード・エレナさんによって書かれた本です。
ジャンクロードエレナさんの記事を書いた時や香水についてちょっとでもわからないことがあった時に戻る。大体なんでも書いてある安心感のある本です。


これを一番最初に手に取って良かったと心の底から思っています。

その理由は2つあります。
1つ目は難しい科学的なテーマも優しい語り口でわかりやすく書かれていること。
2つ目は香水について基礎的なことを詳しすぎず、サラッとしすぎず、程よい塩梅で教えてくれることです。

内容としては鼻の機能や香料の抽出方法から始まり、香水とは、調香師のなり方、商業の視点に立った香水のマーケティングなど基礎中の基礎をご自身の経験を通して語りかけるように教えてくれます。

香水のことをもっと知りたいその第一歩を叶えてくれる大切な教科書です。

より深く「香り」を知りたい時に

中村 祥二 |調香師の手帖 香りの世界をさぐる (朝日文庫)

もっと香水だけじゃなく、匂いについて知りたい時に読んでほしいのがこちら。

元資生堂の調香師の中村祥二さんによるものです。

植物にとっての香りはどんな意味があるのか、体臭はどのように決まるのか、歴史上の人物はどんな香りを使っていたのかといった文化的な部分にも触れた「香り」の専門書です。

この本の良いと思った点は、日本の視点も盛り込まれているところだと思います。香道についてのお話やご自身が務める資生堂と高砂香料が共同で研究した加齢臭、桜の種類によって香りが違う種類があるなど、日本の視点が織り込まれた香りについてを知ることができます。

また、個人的にはイッセイミヤケの香水ができるまでの秘話やその香りを中村さんが試した時の感想は裏話が聞けているようで非常に面白かったです。

メジャーからニッチまで香水の今を徹底網羅

ルカ・トゥリン (著), タニア・サンチェス (著), 秋谷 温美 (翻訳)|世界香水ガイド3(原書房)

娯楽として楽しんでほしいなぁ〜と思いながら勧めるのは「世界香水ガイド3」です。昨年10年ぶりに新しくなった本で1208の香水がレビューされています。
書いているのは、ロンドン大学でphDを取得した嗅覚学者、通称「匂いの帝王」ことルカトゥリンと奥さんのタニア・サンチェスです。
この本の面白いところは何と言っても世界中の香水を独断と偏見で評価しまくるところです。
例えば、NOSE SHOPにも扱いのあるNicolaiのNew York。これについて最高ランクの星5つで評価し、「10年間愛用してきた」とし、「家が火事になったらこれだけ持って逃げる」としています。

ものによっては1ページ使って愛を語るものもあれば、「防虫剤です。これは。」の一言で終わらせてしまうその切り口が超斬新。
忖度なしにやってるプロモーションのなさが逆に信頼できますし、それが世界中で支持される理由なのかなぁと思ったりしています。

ただ、彼の香りの好みがクラシカルな感じではっきりしすぎているので、香りを読み解くための娯楽として読むのが一番正解かもしれないです。

ノーズショップで扱っている香りも多くレビューされており、嗅ぎながら読むとより味わい深くて楽しいです。たまに持ってきているので、事態が収束してタイミングが合えば一緒に楽しみましょう〜

本日はおうちで楽しめる香りの本をご紹介してみました。
お家から出られない日も長く続く今、お家でのんびり読書してみても良いかもしれませんね。