「香りは沈黙の言葉」 ー スカンジナビアンパフュームメゾン AGONIST|アゴニスト

「香りは沈黙の言葉」というテーマのもと、2008年にスウェーデンに創立された「AGONIST(アゴニスト)」。

アートディレクターの夫 ニクラスと、ファッション業界出身の妻 クリスティーンの二人の妥協なき香りづくり。

その香りの根底には、スウェーデンの大自然と何人もの芸術家を輩出したスウェーデンの豊かな文化の影響が色濃く見られている。

スウェーデン アーキペラゴのアトリエ

(画像ソース:https://www.volvocars.com/intl/discover-volvo/agonist) AGONISTの香りは世界各国への旅からインスピレーションを得ているが、それらをスウェーデンという土地へ持ち帰り、クリエーションを形にすることは最も重要なプロセス。

壮大な自然や偉人たちの面影が残るスウェーデンの土地は、芸術活動に集中しクリエーションに真摯に向き合うことができる最適な場所。2人のアトリエは、ストックホルム沖の群島アーキペラゴに位置しており、都心から離れたそこは二人に"スペース"を与えてくれる場所。そこで生まれるAGONISTの作品は自然と「スウェーデンらしさ」をまとうのだという。

2人の香りづくりはまずムードやコンセプトを決めて、それに合う映画、アート、音楽や詩といったインスピレーションソースを集めていくプロセス。ムードやコンセプトは、風が強く厳しいが空気は澄み渡っているスウェーデンの美しい冬や、長い長い冬が終わり花々も人々も喜びで満ち溢れた春のはじまり、太陽が沈むことのない白夜など、スウェーデンの自然をモチーフとしたものが多い。 インスピレーションソースは、イングマール・ベルイマンの映画や、カリン・ボイエの詩など、スウェーデン出身の芸術作品の影響を大きく受けている。

そして表現したい明確なストーリーが完成した段階で著名な調香師へ調香を依頼し、二人の物語に香りという命が吹き込まれる。

異分野アーティストとのコラボレーション

AGONISTはパフュームメゾンである一方、様々な異分野のアーティストとのコラボレーションにも積極的。その一例がヨーロッパ最古の歴史を持つスウェーデンガラス工房【コスタ・ボダ】と作成した”スカルプチャライン”。
この芸術的なガラスのオブジェはなんと、香水瓶。ブランド創立時、AGONISTの香水はまずこのアートな香水瓶に入った”スカルプチャライン”のみでスタート。
香水に込められたストーリーをコスタ・ボダが解釈し、優美で艶やかなスカルプチャにて完璧に表現。 それは見る者の心を一瞬にして奪い、香りのストーリーへと誘う。
ブランドデビュー3年後の2011年、満を持してスプレーボトルでの発売が開始。
スカルプチャとスプレーボトルは、ファッションでいうオートクチュール(仕立て服)と、プレタポルテ(既製服)の関係性という概念で、ファッション業界出身のクリスティーンらしいアイディア。
スカルプチャは誰しもが憧れ夢見る対象であり、スプレーボトルはより多くの人に楽しんでもらえるというもの。
そんなスプレーボトルにも、二人のこだわりがたくさん詰まっている。
ボトルのガラスはAGONISTのための完全オーダーメードで、側面には特徴的な「A」のロゴが浮かび上がっている。(この「A」のロゴは香りのピラミッドをモチーフとしているそう。)
(画像ソース:https://www.volvocars.com/intl/discover-volvo/agonist) また、香料をすべてボトルの表に表記することによって、商業指向なブランドとは一線を画し、正直なブランドであり続けることを実現している。

コスタ・ボダのスカルプチャの他にも、ファッションフォトグラファー ジュリアン・ブーデと製作した"センテッド・ブック"(=香りづけされた本)の製作や、スウェーデンで活躍する日本人陶芸作家 マサヨシ・オオヤとのコラボレーションで生まれたフラワーベースなど、さまざまな分野の才能をAGONISTブランドへ迎え入れている。

世界中のインスピレーションと才能をスカンジナビアンに解釈して物語を紡ぎ出すAGONIST。

今日もまた夫婦は世界へ旅に出掛け、インスピレーションのかけらを拾い集める。